暮らし情報

Furniture olu. 四家充裕

使うほどに馴染み 魅力が増すオリジナル家具
 お気に入りの家具に囲まれて過ごす幸せ。家具は暮らしの必需品です。木工・革作家の四家充裕さんは1985年生まれの26歳。家具職人になろうと決めたのは約5年前の21歳のときでした。埼玉の職業訓練校で家具作りの基礎を1年間学び、家具工場に就職。その頃、不況の真只中だった家具業界。初めて就職した会社は半年で自主退社せざるを得ない状況でした。会社を辞め「今が独立できるチャンスだと、プラスに考えました」と、2009年10月、家具のデザインから制作まですべてを手掛けるFurniture ol.を立ち上げました。

シンプルで温かな風合い
アンティーク加工の家具

 「初めた頃は、ビスやネジなどを使い、価格を安く、早く作れるものをと思っていましたが、今は時間に捕われず、自分が納得いくもの、お客さまの要望に応えられるものを作って行きたいと思っています」という四家さん。1年ほど前から『ほぞ接ぎ』といって、「ほぞ」と「ほぞ穴」をつくり、角材の凹凸を接合する工法で家具を作り始めました。ビス・ネジなどの金属での接続は、錆などにより金具が劣化し、痛んでしまうことがありますが、木組みなら強固に接合でき、角材の反りやねじれを防ぐ効果があります。何よりも頑強で長く使える家具が仕上がると言います。
 シンプルでナチュラルなデザイン。使い古したような味のあるアンティーク加工が施され、程よいレトロ感が醸し出す温かな風合いが生まれます。

使う人の思いを形に

 四家さんオリジナル家具の他、セミオーダーメイド、オーダーメイドの家具の注文も手掛けます。1年前から革製品の制作も始め、いわきでは『almareal』と『カフェ フラココ』、その他インターネットにて販売しています。
 本格的に機材を揃えたので、これからは楢の木などの良質な素材を使った高級家具も作っていきたいという四家さん。「市内に住んでいる方は、直接会って要望を聞くこともあります。細かいところまで対応できるのが個人店ならではです」と、安くて豊富な家具がいつでも手に入る時代に、誰が、どんな家具を望んでいるのか、使う人の思いを精一杯形にするため、ていねいに作っています。
 使うほど生活に馴染み、時間をかけて魅力を増していく四家さんの家具や革製品。その一つひとつから「何代にも渡って継がれるものを」という、まっすぐな本物の思いを感じます。
四家充裕

・家具製作2級技能士

・技能五輪埼玉県地方大会  家具製作職種 成績優秀賞

この記事は2012年10月号に掲載されたものです。掲載当時と内容が異なる場合があります。ご了承ください。