暮らし情報

西山カゴ店

時代は変わっても物の良さは変わらない
先代から受け継いだカゴ職人の技術

 西山カゴ店は竹材の加工品を作っているお店です。竹を使って農業用のカゴを作ったり、依頼を受けて装飾品を作ったり修理したりと、ご主人の西山さんは73歳となった今でも職人として仕事に向き合っています。カゴ職人になって55年。先代から合わせると西山カゴ店は80年の歴史があります。
 漁業が盛んな小名浜では、昔は魚を入れるカゴは竹のものだったので需要は多かったと言います。現在はプラスチック製品が主流となってしまったので7、8軒あったカゴ屋が今では西山カゴ店のみとなってしまいました。最近は、さらに中国産の安価な竹製品にも押され、全国的に職人の数は減っています。「同じ職人の人達がいなくなることは寂しい」と西山さんは言います。
 職人が作るカゴ細工は丈夫で長く使え、質が高いので重宝されます。鯉のぼりの竿の先に付けるカゴ玉などは、良いものを使いたい人が多いと言います。また、お店に訪れ「こんなイメージのものを作って欲しい」と注文するお客さんもいます。職人の技が光る瞬間です。

必要とする人がいる限り作り続ける

 西山さんのカゴ細工はいわきや、北茨城、白河などの産業文化祭や農協祭などのイベント主催団体から依頼があります。また、暮らしの伝承郷の竹細工教室に招かれて教えたりもしています。竹細工に興味のある人は多く、年配の方などが趣味にしたいと一所懸命作品を作っているそうです。
 需要が少なくなる逆境の中でも西山さんは、カゴ細工を必要とする人がいる限り作り続けます。
 竹細工は時間が経つと色が少しずつ変化していくそうです。「竹は生きものだから」と西山さんは言います。自然がつくり出した鮮やかな竹の緑色や、使い込むほど味のでる色の変化は、プラスチックのような人工的なものにはない魅力だと話してくれました。
■いわき市小名浜字古湊196-27
■TEL.0246-92-4896

この記事は2009年5月号に掲載されたものです。掲載当時と内容が異なる場合があります。ご了承ください。