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studio imago   Hiroshi kida

いわきを拠点に活躍するハンドメイドの靴ブランド
 良い靴は、時に誰かの人生と共に何十年も歩くことができます。『Hiroshi Kida』の靴は、とにかく格好良い。惚れ惚れするような存在感のあるデザイン。小さな作業をコツコツと積み上げて作り出した一足からは、味のある温かな質感が伝わってきます。
 靴デザイナーで職人でもある木田浩史さんが『Hiroshi Kida』のブランドを立ち上げたのは、今から5年前。故郷のいわきへ戻り、東田町に工房スタジオイマゴを設立。ストリートジャックやメンズジョーカー、ファインボーイズなど、全国誌にもたくさん取り上げられ、着実に成長している靴ブランドです。
 「学生の頃から洋服が好きで、ファッションの世界に興味がありました。好きなデザインの洋服がなければ、自分で作っていました」という木田さん。大学時代、ジョンムーア、ダークビッケンバーグの独創的な靴に出会い衝撃を受けて、靴職人の道に進むことを決意。大学卒業後に、エスペランサ靴学院で、様々な工具の使い方や製靴の工程を学び、その後、浅草で靴の底付けや釣り込み、パターンなどの修行を積みました。

こだわりのオールハンドメイドの靴

ファッション業界が新作を発表する合同展示会『2005 A/W rooms』への出展が決まったのは、いわきへ戻って間もなくのことでした。
 木田さんにとって自分のブランドを立ち上げる大きなチャンス。来る日も来る日も素材と向き合い、これまで培ってきた技術を駆使し辿り着いたのは、日本で数少ないオールハンドメイドのノルヴィージャン・ウェルテッドの伝統的な製法でした。
 長時間かけ手撚りで縫い糸を作ります。靴底の繊細なラインを作るため、ガラスの破片を使って丁寧に仕上げていきます。履き込むほどに馴染む心地の良さ。デザインや製図、素材、縫製など、細部にまでこだわりが感じられる手仕事が認められ、今では北海道から鹿児島まで、全国16店舗で、木田さんの靴が販売されています。

いわきから世界に自分のブランドを

 時を重ねるごとに味わいが深くなり、履く人によって表情が変わる手作りの靴の良さ。木田さんは「これからも日本に、世界に、自分のブランドを送り届けたい」と言います。
 「若い人たちが、東京からいわきにUターンしたとき、やりたいことができないとあきらめてほしくないです」いわきを拠点に活躍している木田さんは、自分のスタイルと強い志があれば、どこにいても夢は叶うと、次代の若者に証明してくれた一人です。
■TEL.0246-62-5179
■http://www.studioimago.jp

この記事は2010年5月号に掲載されたものです。掲載当時と内容が異なる場合があります。ご了承ください。