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いわき万本桜プロジェクト

99年をかけて ふるさといわきを 世界一の桜の名所に
 「20年後、30年後、いわきの子供たちに山一面に咲いた桜を見せてあげたい…」2011年3月11日の東日本大震災により原発事故が起き、放射能の影響による健康不安や作物を育てられない汚染された土地、福島への風評被害など、未来の子供たちに悲しい現実を残してしまった。その子供たちに、ふるさとを愛する温かい思いや、豊かな自然を残したいと、2011年5月、いわき万本桜プロジェクトが始まりました。
 発起人は、東北機工株式会社の代表志賀忠重さん。目標は99000本。世界一の桜の名所を目指しています。

人から人へ、輪が広がる

 植樹する場所は、いわき市平中神谷の山林。平第六小学校の近くです。一面に広がる田んぼ。周りは山で囲まれていて、雄大な景色が望めます。このプロジェクトを成功させるために、土地を提供してもらうことが第一。志賀さんは、地主の方に一軒、一軒、お願いして歩きました。「桜の木を植えて、明るい希望の場所を残せることに協力できて嬉しい」「楽しみができた」と、快く土地を貸してくれる方が増え、現在30人の方に20ヘクタールの山の協力を得ています。
 いわき万本桜プロジェクトの情報が、人から人へ伝わり、一回の植樹に約100人が参加します。世界的に有名な現代美術家の蔡國強さんやカナダのCRVグループなど、海外からの協賛の輪も広がっています。

山いっぱいの桜に夢ふくらむ

 植樹は10月〜6月まで、月1回行われています。木札にそれぞれの夢や希望を書き、1本1本の桜の木に想いを託します。結婚や子供が産まれた記念、孫に見せてあげたいなど、自分だけの記念樹としていつまでも咲き続けていきます。
 そのためには「植えた後の手入れが大切」と志賀さん。山へ出かけ、急な斜面での伐採や草刈り、そこで出た雑木などを手作業で片付け、植樹場所を整備し、7つの山につながる遊歩道作り。気の遠くなるような作業を志賀さんは毎日続けています。参加した人には、植樹の後も自分の植えた桜の周りの草刈りをしながら、自然を感じ、愛情をたっぷり注いでほしいと、心から願っています。
 「99年かかるプロジェクト。どうすれば続けて行けるか、来た人に喜んでもらえるかをいつも考えている」と志賀さん。山には、木のテーブルやブランコなどが作られ、丸太のステージではサックスのライブが開催されたり、みんなが集える憩いの場所になりつつあります。「自分のふるさとだから」と志賀さんは言います。
 いわき万本桜プロジェクトに参加・賛同した大勢の人たちが「山いっぱいに桜が咲きますように」と、大きな夢をふくらませています。
参加者・協賛者募集しています。 詳しくはいわき万本桜プロジェクト事務局

東北機工(株) TEL.0246-25-0541

 

この記事は2013年1月号に掲載されたものです。掲載当時と内容が異なる場合があります。ご了承ください。