暮らし情報

時間と空間の旅

上田裕則

vol.88「正念場はこれからです」

目に見えない新型コロナウィルスのお陰で、ハッキリと目に見えたものがたくさんありますね。みなさんには、何が見えましたか?

さて緊急事態宣言も全面解除になり、自粛にも疲れたし、身近に感染した人もいないし、「だいじょうぶじゃない?」と、思っていませんか? テレビでよく見る先生も「この新型ウィルスは熱帯地方でも感染が拡がっているから暑さや湿度に関係がないようだ」と、言ってたはずなのに、最近は「夏になりましたから感染者の減少は当然。秋から冬にかけて第二波が来ます」と、主張が変わってます。何が本当のことなのか、私たちは自ら見極める見識を持たないといけないと思うのです。

自分の命を、他人の言葉で右往左往させるわけにはいかないのです。

緊急事態宣言が解除されても、ウィルスがなくなったわけではありません。ワクチンも治療薬もない事実は未だ何も変わっていません。年内にはワクチンを供給できそうだなんて報道もありますが、未だかつてコロナウィルスに対する有効なワクチンを作れていない人類が、未だ正体が明らかになっていない新型ウィルスに有効なワクチンをそう簡単に作れるわけがないと、個人的には思っています。そもそも副作用のない薬はありません。ワクチン、治療薬を一刻も早くと声を上げたい気持ちは分かりますが、薬は基本、危険なのです。安全性をきちんと担保して欲しいと願います。

そんな危険な薬に頼るよりも、きちんと食べて、基礎体力をつけておく方がよほどいいのではないかと思います。お味噌汁に納豆、お豆腐、お漬物といった日本古来の発酵食品は、いまや世界中で健康食品として注目されているのに、当の日本ではこれら発酵食品の消費量は減少の一途。これでいいのか? 日本人。

加工食品は出来るだけ口にしない。お肉もいいけど、お野菜も食べましょう。それに日本は四方を海に囲まれた海洋国家です。日本人の生活習慣に着目するのなら、お魚や貝類、海藻類を多く食べてきた伝統的な食生活にこそ注目して欲しいものです。

伝統的な和食は、日本人全体の死亡リスクや心臓病、脳卒中での死亡リスクを二十%減少させるという、これは国によるしっかりとしたエビデンスがあります。四千年以上前から日本に住み着いた人々が、身近に手に入る食材を上手に保存しながら食べ続けてきたものが、私たち本来の「食文化」なはずです。その食文化によって日本人のからだは作られてきた。つまり私たち日本人の腸内細菌は伝統的和食を食べ続けてきたのです。日本人の腸内細菌が造ってきたのは日本庭園だったのです。

洋食が一般的になったのは太平洋戦争後のこと。わずか七十年程度の間に、私たちは何を食べ、何を捨ててきたのでしょう? その結果がプラスマイナス二十%の死亡率に表れているのだと、私は思います。

ご飯を食べるときに喋るな。人と人とは間を空ける。感染防止の役には立つのかも知れないけど、お喋りこそ最高のおかずではなかったか? 新しい生活様式は正しいのかも知れないけど、ヒトもまた生きものという視点に立った時、根本的に間違っていると私は思う。互いに寄り添い、助け合って生きてきたのが私たちヒトだったはず。ウィルスとて、同じ地球に生まれた仲間。決して敵ではない。だから戦ってはいけない。共存――。ヒトが生きものとしての知恵を試される正念場はこれからです。

うえだひろのり
有限会社いわき損賠保険サービス代表取締役
宅地建物取引主任者
一般旅行業務取扱主任者

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