暮らし情報

時間と空間の旅

上田裕則

vol.90「それでも彼らはやってくる」

この9月号をみなさんが手に取る頃には、じりじりと太陽が照りつける毎日が続いている……と信じたいのですが、果たして結果は如何に。

それにしても、よくもまぁ毎日毎日、降ったものです。

例によって、調べてみました。

今年の東北南部の梅雨入りは、関東甲信や北陸と同じ6月11日。平年より1日早く、昨年より4日遅い梅雨入りでした。まあ、梅雨入りのタイミングとしては、例年通りという感じですね。実際、梅雨入り当日の6月11日には、32.5ミリの雨を観測しています。その後、全く雨が降らなかったのは、わずかに4日。7月31日までの総降水量は6月が約150ミリ、7月が255ミリの404.5ミリ(観測地点:小名浜)。小名浜の平年の7月の降水量が約150ミリなので、大雨災害を被っている被災地と比べると、少ない量ではありますが、平年よりは降ったことが分かります。そして、問題なのが日照時間。

6月の日照時間は、梅雨入りした6月11日以降74.1時間。日照時間ゼロの日も7日ありました。酷いのが7月で、1ヶ月の合計日照時間は33.5時間。7月平均が147.9時間ですから、平年の22.6%しかお日様が照らなかったことになります。これでは、洗濯物が乾かないどころか、農作物が育たないですよ。

8月1日の天気を見る限り、ようやく梅雨が明けたと言ってもいいと思いますが、心配なのが台風です。

今年7月の台風の発生数はゼロ。これは観測史上初めてのことだそうです。

今現在台風の発生数は2個ですが、台風の発生数は毎年25、26個。そのうち平均3個が上陸しています。ということは、8月になると「お待たせしましたー」とばかりに、次々と台風が発生して、呼びもしないのにやってくるという図が描けます。つまり、災害はこれで終わらないと言うこと。

過去最高の上陸数は2004年(平成16年)の10個。ここ2年は5個の上陸で増える傾向にある感じがしてます。加えて、日本近海の海水温が高いので、日本に近いところで台風が発生して、勢力が強い台風が接近、上陸する可能性が高くなってるのではないか、と危惧しているのです。

「去年、あれだけの被害があったから、今年は大丈夫(だろう)」

「まさか、今年は来ないだろう。あんなことはもう、ない(だろう)」 つまりは、これが正常化バイアス。どこにも科学的根拠はありません。

加えて、このコロナです。ただでさえ、密集するのは厳禁と言われているのに、水害被害では使えない避難所も出てくる。昨年の被害からの復旧だって、完全におわったわけじゃない。災害は、いまも現在進行形だと言うことを私たち一人ひとりが自覚して、供えておく必要があります。

大雨や台風、地震、コロナに限った話ではありません。誰かの指示を待っていたら手遅れになるかも知れません。指示が出ても「自分だけは大丈夫」という、正常化バイアスが働いて、高を括って避難をしない。その結果を、私たちは数多く耳目に焼き付けてきたはずです。自然は、忖度という言葉を知りません。実に平等です。

自然とは畏れ多いもの。礼を尽くして、備えておきましょう。

うえだひろのり
有限会社いわき損賠保険サービス代表取締役
宅地建物取引主任者
一般旅行業務取扱主任者

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