暮らし情報

時間と空間の旅

上田裕則

vol.92「最後のトリガー」

暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものです。見事に夏から秋になりましたね。

どんなに暑かろうと、寒かろうと、一つの季節には必ず終わりがあるのです。どんなに暑い夏でもいつかは涼しい秋がやってくる。極寒の冬の次には梅や桜の花が咲く春がやってくることを僕たちは知っている。だから、どんなに暑くても寒くても、未来を信じて耐え忍ぶことが出来るのです。

ところが新型コロナウィルスには終わりが見えず、全体像が掴めません。正体がわからないものに対しては、私たちは理屈抜きで怖さを感じます。それは私たちが生き物であり、生きるために抱く正常な恐怖心なんですが、例えば、昨日、テレビのワイドショーではコロナの恐ろしさを強調していたのに、今日になるとインフルエンザよりもコロナの方が感染者は少ないし死者も少ない、と言ってることが真逆になる。

これが私たちを混乱させる。だって、テレビは嘘をつかないって、みんな信じてるから。朝のワイドショーで、午後のワイドショーであの人が言ってるんだから、と鵜呑みにしてしまう。この際だから言っておきますけど、テレビ、新聞、雑誌の報道なんてその殆どがスポンサーの意向で作られる偽物の情報なんですよ。世論操作なんてお手の物です。

コロナは怖いと騒ぎ立てた挙げ句、私たちの日常は、こうも易々と瓦解してしまった。それでも僕たちの正常化バイアスが、「あの頃」に戻りたい、戻れるはずだと耳元で囁き続け、脳裏に楽しかったあの頃を映し出すけれど、テレビを消して一歩外へ出て目に見える現実は、もうあの頃とは違ってしまっている。

ほんとうは僕たちだって分かってるはず。もう、あの頃には戻れないって。

自分の好きなときに好きな場所に行き、好きな人に会う。好きな音楽を聴き、好きなスポーツを観戦し、声を上げ、拳を突き上げる。馴染みの店にふらりと立ち寄って、一杯の酒を飲み、焼き鳥をほおばる。あたりまえの場所で、あたりまえの人に出会うことを繰り返しながら、何年もの時間という時をかけて地域社会というしくみを僕たちは作り上げてきたはず。

が、それら全てが姿を消してしまった。あたりまえに住んでいた場所に住み続けることも、長く人々の拠り所になっていた店も姿を消した。そこに集う人々の笑顔と想いまでも一緒に連れ去って。

ソーシャル・ディスタンス。新しい生活様式。

「なんだよ、それ。――結局、もう元には戻れないってことだろ」

再生、再生と為政者は嘯くが、それは過ぎた時間軸を巻き戻せといっているに等しい。ゆえに、過ぎてしまったあの頃に戻ることは出来ない。

生き物である僕たちは生きるために変化を必要として、僕たちの変化の中で社会は緩やかに変化を続けてきた。でも今後数年もかからないうちに僕たちの社会は有無を言わさぬ変革を迫られ、おそらく劇的に変わっていくと思う。

最後のトリガーを引くのは、新型コロナではなく、永く噂されている巨大地震なのか、それとも……

うえだひろのり
有限会社いわき損賠保険サービス代表取締役
宅地建物取引主任者
一般旅行業務取扱主任者

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